千葉絵里の 「英語・コミュニケーション・通訳で幸せになろう!」ブログ

「言葉で人をつなぐ、心をつなぐ」コミュニケーター/リンギスト/英日会議通訳者/英語講師/コーチ/会議ファシリテーターのブログです。通訳者としての得意分野はプロフィールをご参照ください。

通訳者が会議について知りたいこと

通訳者が仕事を依頼された会議/イベントについて知りたいことは沢山ある。日時と場所は勿論として、会議名、議題、参加者、同時か逐次か、同時の場合は機材は何か、資料の有無や提供時期、その使い方等々・・・。

 

色々ありすぎるので一体どの情報を提供すれば、と依頼者の方も戸惑われる場合があるのではないかと思う。私としては、下記の視点に沿って情報が提供されていると有り難いと思う。

 

  1. 何のために(Why)
  2. 誰が(Who)
  3. いつ(When)
  4. どこで(Where)会議/イベントをするのか
  5. どういう名称で何(What)を議論するか
  6. どういう形態で(How)行うか
  7. 何をもってその会議/イベントの目的が達成されたとみなすのか(Success Criteria)

 

1~6はいわゆる5W1H。1は会議の目的・位置づけ、2は参加者(お名前の他、所属や役職など)、3・4・5は会議の日時・場所・名称・議題という基本情報。6は会議/イベントの形態(講義・プレゼンが主なのか、質疑応答がメインなのか、実習を行うのか、見学・視察なのか・・・等)。

 

7について気になるかどうかは通訳者によって違うかもしれない。私は気になるほう。1の会議目的とセットになる質問だけれど、例えば情報共有をしてざっくばらんに意見交換をできればいいのか、共有した情報に基づいて参加者が作業をする必要があるのか、はたまた何らかの意思決定が必要なのかで会議の流れが違う。事前に明示することが難しい場合もあるかとは思うけれど、そういうことが分かっていたほうが通訳者も会議の流れに乗りやすく、よりよい通訳を提供できるのではないかと思う。

 

取締役会や経営会議など、定例の会議では1・7は既に明確になっていることが多い。新設の会議では、1・7について参加者間で認識が十分に共有されていないのではないかと感じることがまれにある。例えば、「この議論は○○(上位または下位の会議体、あるいは全く別のフォーラム)ですべきではないか?」という発言を聞くとき。参加者が混乱しているときは、参加者よりもさらに外部にいる通訳者は一層混乱しているということを頭の片隅にでもいれておいていただければ、と思う。

 

 そして、ここからは通訳者視点でほしい/あると有り難い情報。

 

  1. 何のために(Why)
  2. 誰に(Who)通訳が必要なのか
  3. どういう通訳形態なのか(How)
  4. どういう機材を用いるか(What)
  5. どこで(Where)
  6. いつ(When)通訳するか
  7. 何をもってその通訳が成功したとみなすか(Success Criteria)

 

無理やり5W1Hにあてはめた感じだが、5W1Hは自分が重要だと思う順にまとめた。私が8・9・14が気になるのは、それがどういう通訳形態が最適かを導き出す上で必要な情報だと思うからだ。例えば9の情報により、準備が必要な機材の数が違ってきたりする。8・14が明確であれば、重要性を考えてここはウィスパリングではなく逐次で正確を期しましょう、というようなご提案ができたりする。どういう通訳形態でどういう機材を用いるのが最適かは、1・2・4・6・7・8・9・12・13・14などに基づいてある程度自然に決まってくる部分があるので、疑問点がある場合はそういう点をエージェント/通訳者(直受けの場合)にお問い合わせいただければと思う。12は通訳者席のこと。前もって情報をいただけなくてもその場で対応できることが多いとは思う。ただ、大人数の会議などでは、位置によってはスピーカーが見えなかったり、スクリーンが見えなかったりする。通訳ブースの場所を変更したりするのは大変なので、事前にご確認いただけたら、と思うポイントだ。

 

そして、通訳者にとって、最も関心が高いかもしれない資料について。

 

  1. 何を(What)
  2. いつ(When)
  3. どのように(How)使うのか。

 

16・17は明示的な情報がない場合もあるけれど、扱う議題が多い会議・資料が多い会議などでは、あると事前準備を進めるときに非常に参考になる。また、通訳者は提供いただいた資料は機密情報であることを十分に理解し、注意して扱うことを心掛けているけれど、例えば特定の担当者の方に手渡しする必要があるなど、返却方法等についてご希望がある場合はご指示いただけると有り難いと思う。

 

色々書いてきたが、様々な事情やクライアントからの要望により色々なことが明かされない会議も勿論ある。そういう場合はそういうものとして取り組む。割り切りも、柔軟性も必要だ。また、守秘義務を守ることの重要性は十分に認識しているから、たとえ1~17の情報をいただいたとしても、終了後は実績報告に使ってもよい情報以外は処分する。情報の共有と秘密保持は両面を同時に考えていかないとうまく機能しないものであると思うから、その点に留意して、よりよい会議/イベント/通訳業務の実施に向けて、関係者でさらに協力していければと思う。