千葉絵里の 「英語・コミュニケーション・通訳で幸せになろう!」ブログ

「言葉で人をつなぐ、心をつなぐ」コミュニケーター/リンギスト/英日会議通訳者/英語講師/コーチ/会議ファシリテーターのブログです。通訳者としての得意分野はプロフィールをご参照ください。

読書:樺沢紫苑『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』

通訳者に読書家は多いと思う。私もごたぶんに漏れずで、手元に本がないと調味料のラベルまで「読んで」しまう活字中毒だ。分野は色々。特に好きなのは心理学関係の本とエッセイだが、幅広く読むほうだと思う。アウトプットすることで記憶にも残りやすくなるので、読書メモも残しておこうと思う。

 

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「無駄な時間」を減らし「有意義な時間」に置き換えるという従来の「一次元時間術」に対し、「集中力(仕事効率)」という切り口を導入し、「集中力×時間」で考えようというところが新しい。樺沢氏はこれを「二次元時間術」と呼んでいる。

 

文字で読んだだけではわかりにくいが、図を見れば一目瞭然だ。次の図は、この本の中でも最重要の図。非常にシンプルだが、「集中力×時間」で表される面積を大きくしようというのが筆者の主張だ。

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そして、本書の最重要部分を非常にざっくりとまとめると、こういう感じになると思う(手書きにて失礼)。

 

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朝、午後、夜と時間帯に応じた時間の使い方について細かい提言があり、有益だった。精神科医らしく、提案する事柄に根拠が記されているのがよい。もちろん、現実の生活において仕事効率がどれだけ高まったか、どれだけ成果が上がったかを語る場合は、定性的主観的な評価にならざるを得ない。でも、具体的な提案に裏づけがあるものが多いので、十分説得力のあるものになっていると思う。

 

私はこれを読んで、朝の時間の使い方が変わった。最も創造性を要する作業や脳に負荷のかかる作業をあてるようになり、これまで時計代わりにつけていたテレビもつけなくなった。確かに、朝一番に最も集中力を要する作業を済ませると、時間に余裕ができる。もっと早くに知っておきたかった。

 

通訳者として有難いと思ったのは、「集中力は何分持続可能なのか」という問いに答える部分で、同時通訳者の発言を引用してくださったこと。

 

 彼女によると、「同時通訳というのは、非常に高い集中力を要するので、せいぜい10分。どんなに頑張っても、15分が限界です」と言っていました。

 会議の同時通訳は3人1組で、15分ごとにローテーションで回すことが多いそうです。

 

 第一章 脳の機能を最大に生かす集中力の高め方 Kindle版・位置No.605~No.610より)

 

こういうベストセラーで取り上げていただくことにより、通訳者の作業負荷について認識が広まるといいなと思っている。

 

それにしても、「面積を最大化する」というのは理系の発想だなあ、と思った。高校の数学の授業で習った積分のグラフを思い出す。もう計算の仕方などはすっかり忘れてしまったけれど、ぼんやりとでも概念を思い出すだけで役に立つ、ということは時々ある。

 

また、この本を読んで、仕事を終えた後に授業に出て勉強する受講生の方に益々尊敬の念が深まった。リラックスすべき時間にも集中力の要る活動を続け、生活時間を圧迫しながら勉強する生活を少なくとも数年間は続けなければならないというのは本当に大変だ。努力が報われてほしいと思うし、益々よい授業をしなければ、と思う。