千葉絵里の 「英語・コミュニケーション・通訳で幸せになろう!」ブログ

「言葉で人をつなぐ、心をつなぐ」コミュニケーター/リンギスト/英日会議通訳者/英語講師/コーチ/会議ファシリテーターのブログです。通訳者としての得意分野はプロフィールをご参照ください。

記事紹介:長井鞠子さんのエピソード

サイマルの専属通訳者として名高い大先輩に関する記事。

myva1ue.com 

引用されているエピソードは、通訳者なら誰でも冷や汗が出るエピソードだと思う。先に紹介した記事とは矛盾するようだが、それほど「何をしたら準備として必要十分か」を見極めるのは難しいということだろう。また、外務省職員として他の職務と通訳業務を兼務している場合と、専業通訳者で事情は異なるとも言える。

 

この二つの記事を読んだ現時点での感想としては、「必要な準備に十分な時間をかけられるように、方向性の正しい努力をする」。自分も、準備に起因する失敗は色々と経験しているが、時間が足りなくて、という失敗が圧倒的に多い。だから、時間管理をしっかりすることと、優先順位をつけて、外務省の田村さん曰くの「やりすぎ」の部分(引用された例で言えば、相手国の政党の100年の歴史を覚えるとか、大統領の親戚の名前を覚える)ではなく、まず必要な部分(その国の与党野党の名前を言えるようにする)に力を注ぐ、ということが大事ではないかと思っている。

 

時間切れを防ぐためにやっていることは、まず全体像を把握するよう努める、ということとうわぐすりをかけるように準備する、ということ。

 

前者のために必要な情報のひとつが、「誰が、何のためにこの会議を設定していて、何が達成されたら会議が成功したとみなすのか」というものだ。それが分かると資料の位置づけや使用方法が分かり、準備にも取り組みやすいのだけれど、明示的に提示されるというよりは推測していることが多い。読みが外れることももちろんあるため、今後、通訳エージェントやクライアントに更にご理解いただけたらと思う分野だ。

 

後者についていうと、最初から細かく調べていくのではなく、まずざっと全体を流し読みし、どこが重要なポイントなのかめぼしをつけた上で、細かい調べ物に入っていく。同じ資料も調べ物の密度を濃くしながら何度か目を通す。全体像が頭に入っていれば、全く触れたことのないトピックに出くわす可能性が低くなるという算段だけれど、あまりに資料が多く、時間がない場合はこれができない。時間切れを覚悟で最初から細かく調べつつ読む、ということになるが、リスクが大きい。

 

また、全体の流れをつかんだ上で重要な概念やキーワードをおさえていれば大丈夫な場合と、ベタ訳をつけることが絶対に必要な場合がある。自分に基礎知識が足りない分野の場合は、資料として渡されたもの以外の基礎的な勉強に時間を要することがある。

 

個々の案件で条件が異なるので、どういう準備がベストかは一概に言えない。外務省の田村さんの「政治家の表敬訪問時の準備の仕方」は具体的で役に立った。自分も、今後、分野別にまとめてみようと思う。

 

こういう記事を読むと、やはり気が引き締まる。引き続き、ひとつひとつの案件を丁寧に準備していきたいと思うが、上に述べたように何がベストかは案件ごとに違う。それを見極められるようになりたい。